当店に在籍していた千束が退店して少し経ちましたが、注意喚起として今回何が起こったかをオーナーとしてお伝えします。退店の引き金となったのは彼の「裏引き」、いわゆる「お店を通さずにお客様と直接やり取りをする行為」でした。

　裏引きは法律や規約で禁止されているのでしてはいけない、そんなわかりきった話をしたいわけではないです。自分なりの言葉で『裏引きによって幸せになる当事者はいない』ということを皆さんに感じ取ってもらえたら嬉しいです。

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　今回千束が裏引きをしたのはデビューしてから複数回ご予約をいただいたお客様（以降、Aさんと呼びます）でした。過去のご予約では1度で高額をお支払いいただいたこともあり、千束としては心に留めておくべきお客様であったと思います。Aさんにおいても話を聞く限り、千束に対して特別な感情を抱いていたようです。

　どちらが裏引きを持ちかけたのか、定かではないし正直重要ではないので割愛しますが、夏の暮れに初めて数十万円の手渡しによる裏引きが行われました。その後千束は、裏引きの対価として数十万のバイクの購入代金をAさんに振り込ませたり、Aさんが引越しをすることになり「引っ越すなら一緒に住もう、ただ引越し費用は負担してほしい」と引越しの頭金としてさらに数十万円をAさんに振り込ませたりしました。

　総額二百万を超える裏引きの対価は、Aさんが車を売却したり消費者金融から借金したりして支払われたようです。そのせいで生活に困窮し、また不安な感情に陥ったAさんが、ADAM東京代表のりんさんの『セラピストに搾取されて自殺したお客様』のポストを見て怖くなり、運営に相談したことにより本件が発覚しました。

　運営としてはAさんと千束の間を取り持つ形になり、運営と千束の話し合いで「Aさんに利息分が生じる消費者金融の借り入れ分だけはバイクの売却や引越しのキャンセルにより早急に返金させる」とした上で「改心し、GLGで引き続き働きながら少しずつAさんに全額を返金する」ところまで言質は取りましたが、その晩に運営へ「引越しの契約書は燃やした、部屋の窓ガラスを殴って割るほどイライラしている」と支離滅裂な電話をしたのを最後に、そのまま千束は退店することになりました。

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　裏引きの理由はシンプルです。お客様にとっては「キャストにより安価で会いたい」「キャストにより多くお金が入るようにしたい」、キャストにとっては「もっとお金が欲しい」、これらは要するに「店落ちを払いたくない」ということです。

「お客様とDMを重ねて予約をとってきたのは店ではなくキャストの努力だ」
「店は公式アカウントでお客様からの予約票を確認して返信するだけ」
「それでいて料金のウン十%もとっていくなんてキャストが可哀想」
「口裏を合わせればバレることなんてない」

　めちゃくちゃわかります。私もオーナーを経験する前は同じことを思っていました。「店落ちを払いたくない」という考えの裏には「店は大したことをしていない」「店の目なんて届くわけない」といった店の存在を軽視する認識が少なからず存在します。

　ではまず「店は大したことをしていない」について反論しましょう。お客様やキャストが見ている”店”はあくまでも氷山の一角に過ぎません。

お客様に対して；
・キャストの教育をしているのは誰でしょうか？
・キャストの宣材を管理しているのは誰でしょうか？（GLGでは宣材は店持ち）
・キャストの性病検査を管理しているのは誰でしょうか？（GLGでは性病検査は店持ち）
・キャストが予約の間休める待機所を管理しているのは誰でしょうか？
・キャストのブランディングのアドバイスをしているのは誰でしょうか？

キャストに対して；
・キャストが合法的に活動できるようにしているのは誰でしょうか？
・キャストがいただく料金の妥当性を保っているのは誰でしょうか？
・キャストが一般人と異なる1番の要因である”看板”を管理しているのは誰でしょうか？
・キャストにどのようにアドバイスするか裏で話し合っているのは誰でしょうか？
・お客様のキャストに聞けない相談を受けているのは誰でしょうか？

　挙げていくとキリがありません。店は時間やお金をそれなりに投資して、見えないところでお客様やキャストのために日々奔走しているものです。そして今回両者に最も伝えたいこと、それは……

・予約でトラブルがあった際に責任を持って対応をしなければならないのは誰でしょうか？

　ということです。もはやこれだけに特化して皆様に問いたいです。

お客様に対して；
・キャストが基本プレイを行わなかった際に責任を持ってクレームや返金などに応じるのは誰でしょうか？
・キャストが遅刻したり予約を飛ばしたりした際に責任を持ってホテル代の返金などに応じるのは誰でしょうか？
・キャストが予約時間を超過して居座り続けた時に責任を持って対応するのは誰でしょうか？
・キャストがお客様の私物を盗難した際に責任を持って対応するのは誰でしょうか？
・キャストがお客様を盗撮した際に責任を持って対応するのは誰でしょうか？

キャストに対して；
・お客様のキャンセル料金を責任を持って回収するのは誰でしょうか？
・お客様が暴行をはたらいてきた際に責任を持って対応するのは誰でしょうか？
・お客様が支払いに応じない場合に責任を持って対応するのは誰でしょうか？
・お客様がキャストの私物を盗難した際に責任を持って対応するのは誰でしょうか？
・お客様がキャストを盗撮した際に責任を持って対応するのは誰でしょうか？

　これらは全て女風界隈で本当に起こった話です。店落ちが「地代家賃や外注費といった店舗運営の固定費」のみに使われるとするのであれば、お店ががめつく思われて当然かもしれません。しかし、実際は「予約でトラブルがあった際に当事者を守るための変動費」にも使われているのです。リスクに対する保険料と言い換えるとわかりやすいかもしれません。まあ女風なんてトラブル続きなので、オーナーとしてはもはや固定費に近い感覚なのですが。

　ここで冷静になって考えてみましょう。裏引きとは先ほど挙げた不穏な項目の数々において「責任を持って対応する誰かしら」がいない状態で金銭のやり取りが発生している状態です。怖くないですか？セーフティーバーなしでチンパンジーが操作するジェットコースターに乗っているのと一緒です。何かが起こっても誰も守ってくれないのです。

　千束がAさんの恋愛感情を利用し車を売らせ、さらに消費者金融から借金をさせて200万以上を搾取しても、お店を通していなければそれはあくまで個人間で起こったこと。Aさんをお店は守ることができないのです。そもそもお店を通していればここまで酷い状況になることもなかったでしょう。怖くないですか？と私が言った意味が皆さん理解できたかと思います。お店はがめついわけではなく、それ相応の責任を背負っているのです。はっきりと言いますが、お店は大したことをしています。

　次に「口裏を合わせればバレることなんてない」について反論しましょう。と言いたいところですが、裏引きは中小店舗では正直バレないことが多いです。1撃数百万裏引いてそのまま業界を引退した人、延長分だけバレずにちょびちょび裏引いていた人、本番をしている時間以外で料金を計算して裏引いていた人、いろんなバレなかった人を知っています。これからバレるかもわかりませんが。

　ただ勘違いしてほしくないのは、今言ったのは”お店の運営に対して”バレないことが多いということです。人はいけないと言われていることほど、していることを自分の中に秘めておくことができません。現に先ほどのエピソードも私の耳に入ってきてしまっているくらい”誰かしらには”バレているのです。ユーザー友達やキャスト友達に不意に話してしまったことが、ひょんなことをきっかけにお店の運営にバレるなんてことはしょっちゅうあるし、今回のように当事者が運営に自白する事だってあります。

　千束もAさんも「口裏を合わせればバレることなんてない」なんて思ったみたいですが、不安定な状況に陥った人間がどんな行動をするかなんて想像もつきません。そんな口約束を信じるのはマラソン大会で「最後まで一緒に走ろうね」を本気で信じる奴くらいバカです。
　
　いかがだったでしょうか。『裏引きによって幸せになる当事者はいない』という事が少しでも伝わったでしょうか。今回、Aさんの話を聞いて同情するところは多々ありました。しかし、どんな背景があるにせよ、どちらが裏引きを持ちかけたにせよ、2人で共謀して裏引きが成立した時点で同罪、お店からしたら両者ともお店に不利益をもたらした害悪でしかありません。今回は間を取り持つという寛大な対応をとりましたが、今後は一歳そういった対応は取るつもりはありません。散々お店を裏切っておいて、都合の良い時だけお店に頼るなんて到底許せることではありません。

　お客様におかれましては裏引きを提案するなんて愚行は決して行わず、キャストから提案された際には速やかに運営に通報をしていただけますと幸いです。何卒よろしくお願いします。

P.S. 今回の問題について、根本的には千束のような人材を採用してしまった自分が悪いなと反省しています。話し合いの中で「俺は相手がそうしたいって言うんだったら、消費者金融でお金を借りさせることに対して別に何も思わないっすけどね」なんてほざくようなやつを採用してしまった自分の人を見る目の無さを悔やんでいます。採用及び教育について、お店の代表としてより一層気を引き締めながら、店舗運営に励んでいく所存です。